トリセツ:陶器のあつかい方、仕舞い方について

2015.06.25

jiro atsyukai
陶芸家・吉田次朗さんの展示には、たくさんのお客様に足をお運び頂き、本当にありがとうございました!改めまして、ここでも深く深く御礼を申し上げます。もう1回、みなさま、どうもありがとうございましたーーー。

さて、展示が終わったあとの今も、
「また吉田さんの展示の予定はありますか?」
「すごく満足で良い展示だったので、またやって欲しい」
「映像作品 岐阜の人々のDVD化を望む!」
「遠方でどうしても展示行けなかったけれど、通常営業の時に器の販売はありますか?」
「買った器に沁みをつけてしまったかもしれない、どうしよう」
などなど、いろいろお問い合わせやご感想も頂きます。

ひとつひとつお返事させて頂いておりますが、器の扱い方についてのご質問は、次朗さんの作品に限らず、作家さん手製のうつわ全般に便利に役立つことと思いますので、ここでも「吉田次朗うつわトリセツ M&W仕様」としてお伝えしたいと思います。以下長くなりますが、続きます!

一般的に作家さんによって手で作られる器も工業製品の器も「焼きもの」「陶磁器」と呼ばれることが多いですが、種類としてはおおまかに磁器(じき)と陶器(とうき)の2種類があります。次朗さんが作られる器も「土もの」といわれる陶器、粘土、つまり土が主な原料の器と「石もの」といわれる磁器、陶石とよばれる岩石が原料の器があります。

今回DMにも使用した、超大人気のグレーの器も陶器。つまり土でできた器です。独特のグレーの色を見て、金属が入っているの?と思われた方も多いと思いますが、あの淡いもやもやとした濃淡のある美しいグレーは色の異なる土と土を重ねて出している質感なのだそう。土で出来ているので、吸水性多孔性で水分が浸透やすい性質を持ってます。

水分が素地に沁み込まないように釉薬(うつわの表目をガラス状の膜で覆い、強度を与えたり酸などによる腐食を防ぐコーティングの役割も)がかけてあるものもありますが、今回の展示作品の中心となった次朗さんのグレーうつわ類に関しては焼きっぱなし、素地のまま。もともと、水も油も染みやすい器です。が、こわごわと水っぽいものも油っぽいものも避けて使うことなく、むしろ油や水による沁みも後味のひとつ、淡い濃淡の一部としてどんどん育ててもらったらいいと思いますよーとのこと。使った後に、洗って、じゅうぶんに乾かしてから食器棚に仕舞うことだけ気をつけてもらえば、はじめから油物や汁物も全然OKです!とのこと。濃淡がかえって気になる場合は、木工品のように食用油をしみ込ませた布などでさっとふいて濃い沁みをあえて先に入れてもらってもよいかも、とのことでした。

たしかに、「岐阜の人々」上映タイムの時に使っていた喫茶用グレーオーバル皿も、何度も使って、洗ってを繰り返しているせいか、珈琲がこぼれても、かりんとうが乗っかっててもなんのその(かりんとうって思いっきり揚げ菓子ですもんね)いい味のまんま。毎日ざぶざぶあらって、よーく乾かして、毎日みなさんのお席に運んでましたが、あまり沁みというのは気にならなかったです。あの薄さと質感に、変に躊躇すること無く、どんどん使ってOK!ということ。何度も言いますが、どちらかというと沁みよりカビによる黒い斑点のほうが、一度付くとやっかいなので、よーく乾かしてから仕舞ってくださいね。

それから、濃淡つきのグレーの素地のうつわの他に、ベージュの方の定番の器シリーズも今回の展示では、たくさんたくさんお買い求め頂きましたが、こちらはカップ類、プレート類ともに、表面には釉薬がかかっているものが多いです。そして裏面が素地。つまり、同じ陶器でも扱いがすこしだけ違います。染みがつきにくいよう若干のコーティーングはほどこしてある訳ですが、こちらもカビによる斑点が大敵なので、よーく乾かしてお使いください。

ベージュの粉引のうつわは、drop家では次朗さんの器に限らず、陶器の使いはじめに「目止め」をします。「目止め」は、うつわの細胞である貫入(かんにゅう)に沁み込む汚れを若干抑え、土の荒い目をふさぐ役割があります。方法としては、小さいもの、例えばお茶碗やカップ類、小皿類ならば、大きめの鍋に米のとぎ汁をいれてそのなかに漬けて数分程度煮たり、鍋で煮るのが無理な場合は料理を盛る前にざぶんと水に浸けて水分を含ませ、臭い移りを抑えたり、というような方法があります。米のとぎ汁が用意できない時は、炊いたお米を一握り入れるのでもよいようですよ。きっとお米のでんぷん質が、バリアを張ってくれるのでしょうね。土鍋なんかも同様なお手入れをおすすめされますが、器にも定期的にやると、ヒビや沁み汚れを防ぎやすいようです。ぜひご参考にされてみてくださいね。みなさんのお宅で、のびのびとうつわを楽しんでお使い頂けますように〜。

※写真は、drop家での目止めの様子。飯椀と、ベージュのオーバル皿をパスタ鍋でぐつぐつ煮ました。
オーバル皿の長辺が入りきらなかったので、何度かトングで天地をぐるぐる代えて煮ました。目止めのあとも、次朗さんと次朗さんの奥様のアドバイス通り、素地の裏面もよーく乾かしてから使って&仕舞うようにしてます。そのあとすぐにハンバーグやらパスタも載せてますが今のところ沁みなし!あとは、時間をかけてぐんぐん使い込んで我が家ならではの味が出て行くといいなあ、育つといいなあと思いながら毎日愛用してます。

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