old fabric & new fabric.

2014.12.01

fablic

古い布と、あたらしい布。
紙も偏愛的に好きですが、布もどうにも好きです。
つまりはつくる手前の「素材」の状態が好きなんだろうと思います。
どこに行っても「素材」や「部品」を無意識にハントしている気がします。
「素材」「部品」が大量に並んでいる場所に行くと、時間も財布の中身も忘れて無我夢中。
いい素材を見ていると、にやにやしてしまいます(いまもにやにやしながら書いてます)。

古い布は、先日の出張で西から相方が見つけてきてくれました。
日本のものだそうですが、不思議な寸法の布(帯芯?)。
新しい布は、長年お世話になっている服作りのプロの先輩からのご紹介で、
東のほうでオリジナルファブリックも作っていらっしゃる布の問屋さんで手に入れました。
深くていい色がいっぱい揃っていて、アドレナリンが出過ぎて動機が早まりました。
いい布を見ると、ああもう、どうしよう、と、血が騒ぎます。

紙素材好きは自前ペーパープロダクトの企画とデザインにおおいに役にたってきましたが、
布好きは、長いこと家庭内とお店の片隅のみでしか発揮していませんでした。
実はもともと、M&W店主は服(衣装)をつくるしごとをしていましたが、
若い時分に、移り変わりの早いおしゃれ服の世界にざっくりと挫折し、
挫折した頃にdrop aroundをはじめたので、
長いこと「服をつくること」はお蔵入りとなっていたのです。

しかしながら、やっと、奥にしまっていた「服をつくること」復活の兆し。
スピードの早いものづくりについていけないのならば、
移り変わらないものを地味に、ダラダラ長く作ればいいのじゃ!と気づき、
10年以上経って、重い腰をようやくあげつつあります。
地味でも、ありそうでなくって、つい選んでしまうもの。
そういうものづくりが、私たちdrop aroundの骨格だと思うので。
非おしゃれ・非デザイナーズなんちゃらなものづくりですが、
一度作ったものを長生きさせることには自信があります。
なんでもないカミノハコや、ちょうどいいサイズの領収書、
そういうものと一緒に並んで違和感のない、
エプロンやワークコート、バッグを作っていけたらいいなと思っています。
PSケースや筆入れ、通帳入れや出納袋なんかも作りたい。
またまたニッチな世界観ですが、身の回りのあったらいいな、
をかたちにするのがきっと自分たちのいちばん向いているしごと。

歩みはのろそうですが、欲しいものを欲しいぶんだけ、
少しずつ作っていきます。
気づいたら、できてたんだね、という風味で、
気長に、ちょっとだけ楽しみにお待ち頂けたらと思います。