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大久野島へは、忠海港という単線の駅そばの小さな港から、モーター船のようなので行った。朝日が穏やかな海に反射して美しかった。デッキにでて、潮風に当たりながら朝ごはんを食べていると、そのうちに電波塔がいくつか突き刺さるように立った、こんもりと緑に覆われた小さな島が見えてきた。舟が小さな船着き場に到着したので、降りてあたりをみまわすと、人工的な海水浴場とキャンプ場があり、きちんと舗装された道は、休暇村の施設や散歩コースに繋がっているらしい。とにかく、まずはどんな島なのか、散策してみようと思い、道なりに歩いてみた。天気も凄くいい。まだ午前中なのに、くらくらするぐらい日ざしが強い。日陰を選んで歩いているうちに、不思議な気持ちになってきた。プールやテニスコート、広い南国風の庭があって、大きな宿泊施設も見えてきた。けれど、そこにひとの影が見えないと、とたんに寂しく映る。それらが綺麗で、きちんと整備されているから余計。島の歴史を知っているせいで、そう感じるのか分からなかったけれど、しんとしていて、静かに何かをたたえているような不思議な空気が充満していた。
しばらく歩いて施設に近付くと、やっと人の気配がした。休暇村に来ている親子らしく、野菜を持って休暇村の裏手でしゃがんで何かジェスチャーしている。なんだろうと、私達も近付いてみると、茂みの奥にウサギがいた。野生のウサギ!そういえば、ここはウサギ島とも言われるくらい、野生のウサギが多いのだ。しばらく島が閉鎖されていた間に、どんどん増えたらしい。やっと生き物に会えた安心感と、もともと大の動物好きの性分もあって、そのあとはひたすらウサギと遊んでいた。ウサギ達はあくまで野生なので、決して人懐っこいとまでは言えない距離感をとりながら、こっちを気にしていた。外が暑いせいか、茂みの下や穴の中、コンクリートの日陰を選んでもっさりと丸まり、えさの気配がした時にだけこっちに突進してくる。見た目はかわいいけれど、そのスピードはけっこう恐い。それでも、小1時間ほどかまっているうちに、ほんの少しだけ気を許したらしく、お弁当の残りの野菜をあげてみたら、立ってこっちをジッと見つめてちょうだいポーズをする。か、可愛い!ほかのウサギも集まってきて、それぞれに性格があるのも分かってきた。きままでぼうっとした子や、警戒心が強くて睨むように人間を観察している子、えさだけもらったろ。というしたたかな子。ウサギにも色々いるもんだなあ。感心しているうちに、随分日が高くなってきて、だらだら汗をかいてきたので、ウサギたちとバイバイして、日帰り入浴しに行った。昼間のお風呂は、貸し切り状態で、窓からは海が見えた。しばし極楽気分でゆったりと疲れをとった。

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