Matter of life and death.

2019.10.31

赤くて
赤くて
赤かった。

今度は、黒くて黒くて黒い絲に包まれた。

足も肩もくたびれていたので、観るかどうかを直前まで迷って、
でもエイヤー、と夜の六本木へ向かい、
20時すぎにすべりこんだ #塩田千春展 。

行って良かった。素晴らしかった。
素晴らし加減が、他の何とも例えられないのですけれども。
久しぶりに、がっつりと現代美術に触れたな、
生きるか死ぬか、みたいな気合いの入ったアートに体が正直に反応したな、と思いました。
正直な反応、とは
「キモッ❗️」と思わずあとじさる、とか
なんかあったかく包まれた感がする、とか
自分の傷みを覗き見されたみたいでドキっとする、とかなんかもう色々ですが、
頭で考えるより体が先に反応するって「よくわからないけど刺さってる」のですよね。

他のひとはどうかわかりませんが、私はそれが欲しくてお金を払って美術を体感しに行きます。
アートを理解したいひともいるだろうけれど、理解ってしなくて良くない?と思う。
それより何年後かにも、ふと思い出してザワッとするとか、日常で糸が垂れているのを見かけた時に、あ、あれやな、とよぎるものであったなら、そのほうが凄いような。

ある一部を除いては、すべて撮影&拡散してよろしい、という展示だったので、
あちこちでカシャーという音が鳴り響き、自撮りをしている観光客なども居りました。
こうして自分も気持ちに留まったものは撮っているから別にそれを非難する立場でもないし、何が云いたい訳でもないのだけれど、53階にあるこの美術館のフロアが箱だとして、もっと上のほうから塩田さんがこの箱を手にして覗きこんでいるんじゃないか、自撮りやら携帯撮影パシャ音やらもすべてインスタレーションという装置の中に組み込まれてんちゃうかな、という勝手なイメージが頭にこびりついて離れない。

もしかしたら、私のカメラストラップが赤いロープで出来ていて、
赤い糸が張り巡らされているスペースにいる時に、
自分の肩にかかる赤いロープに何度もドキリとしたこと、
絡めとられている気になったことも関係あるのでしょうか。

美しくて、少し怖くて、忘れられない展示でした。
そして夜23時まで美術館が開いてるって、やっぱり東京はすごい街。

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