針山→把手

2014.07.03

toilet-door

隣町で壊されてしまうという洋館から頂いて来た重厚な古い木の扉が、
M&Wのお客様用トイレのドア。
もともとあったトイレの個室に手洗い場スペースを加えて壁を立て、
さてドアもつけないとね、ドアあります、何故か持ってます、
となったまではいいのですが、寸法を計る段になって、
ようやく気づいた片面のドアノブ不在、、、。

古いものはなにかしら難アリであることも、
別の場所に運んで使えるかどうかはわからん、、も重々承知でしたが、
洋館から持ち出す時に、先に入った古道具屋さんなのか業者さんなのかが、
持って行ってしまったもよう。
ドアなのに、把手(ノブ)がないのはまずい。そもそも開けられない。
間違って開けられたとして、今度は閉まらない。鍵もない。
アカーン!
、、、ということで、同じようなドアノブを探してはみたものの、
見つからないままにドアの設置日になってしまいました。

困ったー、困ったーと騒いでいたら、お世話になっている建築事務所の親方と大工さんが、
そのへんにたまたま転がしていた古い針山の土台(木製)を手に取って、
「これは?これドアノブに出来るんじゃない?」と、
その場で角材を削り、針山の穴に詰め、ボンドで固定すること10分。
(写真はその時の風景。隣では床が打ち込まれておりました)
妙に赴きのあるドアノブ部品が完成、本日ドアに取り付けられました。やったー。
そのへんのドアノブより、よほど可愛いです。
ちょうお気に入り。

足りないもの必要なものも、そこらへんを見渡して、
ありものを材料に作り出す。
その自由な発想にも、嬉しくなりました。
建具だって、昔は大工さんや職人さんが作っていたのですよね。
ドアノブを付けてくれた大工さんを見習って、
ただ「ない」から慌てて探して買うのでなく、「ある」をようく見渡して見つけて、
手を動かしてつくれたらもっと楽しい。かなり満足。
なにか、そんなことも思わせてくれるアイコンとなった、ドアノブ。
トイレご使用の際は、ちらっと触ってみてみてください。