函館の朝読書とMUJI BOOKS

2020.01.27

旅先の読書は贅沢だなあ、と思う。
家族が起き出してくる前の、夜明け頃から朝陽が昇りきるまでのわずかな時間しか読めなくても。

旅先で本を買うのも好きだ。
帰りの荷物がうんと重くなっても。

昔、書店員をしていたせいか、本屋で本を買うのが好きです。
ひとりのはたらく誰かが、数ある本から選んで悩んで棚に差し込んだり、POPを書いたりして、著者と読者を繋げているのを知っています。だから、本屋で本を買うのが好きです。
著者や出版社だけでなく、その本屋で、その本を選びおすすめしている誰かにも、買い物で’投票’出来るから。

無印良品は本屋ではないけれど、本がたくさん置かれていました。
MUJIBOOKSなるレーベルもあるそう。
衣食住だけでなく、その先にある智慧や文化も見つめているのだなあ、と羨ましくなる。
私たちはもっぱら、日々のなかで個人だから出来ること、小さいから出来ること、の中でもがいている。
はんたいに、大きいから出来ること、もきっとある。
まことに勝手な希望ではあるけれど、無印(良品計画)さんには、
容れ物も組織も理想も客数も大きいからこそ出来る、おもしろいことや本質的なことをどうか続けていって欲しい。
アンタ誰、何様。という話ですけれども。

翻って本に話を戻すと、無印良品シエスタハコダテさんにあったMUJIBOOKSの中から、
柳宗悦 / 茨木のり子 / 花森安治 の御三方の本を選んで買いました。

戦争をしたくてしょうがない人たちが、この国にも、すぐ近くの国にも、何故かいつでも一定数いて、
市井の市民をすぐに巻きこもうとする不可解と苛立ちと言い知れない怖さから、
今、このメンツを選んだんだよな、、と我ながらはっとしました。

みずうみ、という、茨木のり子さんの詩を窓辺で読みながら、
日本の政治家の誰かひとりの心のなかにもみずうみがあればいいのに、と溜め息をついていたら、
朝っぱらから全開な我が家の娘が飛び起きて来て、ますますこのひとに、
まともな未来は残せるんだろうか、ろくな大人があんまりいなくてごめんな。と思う。
代わりに、小さな小さな背中を見せられるように頑張ります、、、と小さくつぶやく函館の朝。

関連する記事